この施設は、主に宮崎県内の知的障害者が恵まれた環境の中で、生産活動に従事し、その潜在能力の開発と職業訓練により社会復帰を図る施設として18歳以上の約320名が生活しています。既存施設が旧基準の４人部屋が中心である為、老朽化の改善と合わせて、特に自閉症者５０名の宿舎として個室化された施設整備を行ったものです。
　周辺の自然に囲まれた環境の中で違和感のない落ち着いた雰囲気の外観を目指し、内部は、自閉症者の特性である、こだわりやコミュニケーションの困難さに対応した施設としました。スタッフの少ない夜間でも目の届きやすい平面計画とし、床材や色彩のやわらかさにて落ち着いた雰囲気とした一方で、建具や設備の強度及び入所者の管理上必要な施錠方法に工夫しています。又、施設特有の臭気対策も行っております。
　知的障害の中でも自閉症者に特化した入所施設の前例が少ない為、施主様（特に現場スタッフの方々）との意見交換を密に行い実現できた建物と考えます。